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ピラティス道具おすすめ一覧|自宅トレーニングをスタジオ級に変える選び方と活用術【完全保存版】

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ピラティス道具おすすめ一覧|自...

ピラティスは、100年以上前にジョセフ・ピラティス氏が負傷兵のリハビリテーションのために考案した「コントロール・ロジー(身体統御学)」に基づいています。現代において、ピラティスは単なるエクササイズを超え、自分自身の身体を正確に制御し、内側から整える「ライフスタイルの調律」として定着しました。

特に自宅で取り組む「宅トレ」としてのピラティスは、時間や場所に縛られない利点がある一方で、「正しく動けているか確信が持てない」「特定の部位への意識が難しい」という課題に直面しがちです。その壁を打ち破るのが、専用の道具(プロップス)です。

本記事では、道具が果たす解剖学的な役割、初心者が揃えるべき優先順位、プロ仕様のブランド比較、そして自宅で即実践できる詳細なガイドまでを、どこよりも深く体系的に解説します。

第1章 ピラティス道具の真の役割と解剖学的必要性

ピラティスの道具(プロップス)は、決して「負荷を増やして筋肉を大きくするための重り」ではありません。むしろ、身体の動きをサポートし、正しいフォームへと導くための「ガイド」であり、自分自身の身体の状態を検知するための「精密センサー」です。

1-1 代償動作の防止とアイソレーション

人間には、弱い筋肉(主動作筋)を補うために、より使い慣れた強い筋肉(代償筋)を無意識に動かしてしまう「代償動作」という特性があります。

  • 物理的なフィードバック: 例えば、腹筋を鍛える際、多くの人が首や腰の力を使ってしまいます。ここにミニボールを肩甲骨の間に置くことで、胸椎の伸展を助け、過剰な首の力みを取り除き、ターゲットとなる腹筋(腹直筋や腹横筋)に負荷を集中させる「アイソレーション(分離)」が可能になります。

  • フォームの自動矯正: 道具の形状が身体の配置を規定するため、独学では気づきにくい「骨盤の傾き」や「肩の上がり」を物理的に修正します。

1-2 インナーユニットの強制連動メカニズム

ピラティスの核となる「インナーユニット(腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群)」は、意識的に動かすことが極めて難しい部位です。

  • 筋膜の繋がりを利用: ピラティスリングを両脚で挟むという単純なアクションは、内ももの「内転筋」を活性化させます。解剖学的に内転筋は骨盤底筋群と筋膜で繋がっており、リングを押し込む力がそのまま骨盤底を引き上げ、深層腹筋である腹横筋の収縮を自動的に誘発します。

  • ボトムアップのアプローチ: 自重だけでは脳からの指令(トップダウン)が届きにくい部位に対し、道具による物理的刺激(ボトムアップ)を与えることで、誰でも確実にインナーマッスルを起動させることができます。

1-3 固有受容感覚の覚醒と脳の書き換え

自分の身体が空間のどこにあり、どのような姿勢でいるかを感じ取る能力を「固有受容感覚」と呼びます。

  • センサーとしての役割: 道具に触れている感覚、抵抗を押し返す感覚は、脳に対して強力な信号を送ります。これにより、脳内の「身体地図」がアップデートされ、運動神経そのものが改善されます。

  • 左右差の自覚: セラバンドを両手で引いた時、あるいはフォームローラーの上に寝た時、自分でも驚くほどの「左右の硬さの違い」や「筋力のムラ」が可視化されます。この「気づき」こそが、身体を変える第一歩となります。

POINT
pique流「感覚の解像度」を高める道具論

pique(ピケ)では、道具を単なる補助器具ではなく、自分の身体の深部と対話するための「通信デバイス」と捉えています。自重トレーニングだけでは見落としてしまう微細な筋肉の震えや、関節の微妙な引っ掛かりを、道具というフィルターを通すことで「感覚の解像度」を極限まで高めることができます。この解像度の高さが、短時間での劇的な変化を可能にします。

第2章 【初心者必見】揃えるべき道具の優先順位と選び方

ピラティスの道具選びにおいて、最も避けるべきは「安さだけで選ぶこと」です。ピラティスはミリ単位の動きを制御するメソッドであり、道具の反発力が不均一だったり、マットが滑ったりするだけで、トレーニングの質は著しく低下し、最悪の場合は関節を痛める原因になります。ここでは、プロの視点から厳選した「本当に効果が出る」道具の選び方を詳述します。

2-1 ピラティスマット:あなたの脊柱を守る「最重要基盤」

多くの人がヨガマットで代用しようとしますが、ピラティスにおいてそれは推奨されません。ヨガは立位のポーズが多く「滑り止め」が主目的ですが、ピラティスは仰向けや横向き、そして背骨を転がす動作が中心です。

  • 厚さの基準(10mm〜15mm): 脊柱(背骨)の1つ1つを床に接地させる際、薄いマットでは骨が床に当たり、痛みが生じます。この痛みは身体を強張らせ、インナーマッスルの活動を阻害します。最低でも10mm、理想は12mm以上の厚みが必要です。

  • 高密度素材の選択: 単に厚いだけでなく、ギュッと詰まった「高密度」なものを選んでください。NBR(ニトリルゴム)やTPE素材の中でも、押した時にすぐ戻る復元力が高いものは、動作中の関節の安定を助けます。

  • グリップ力とサイズ: 手足が滑ると、それを止めようとしてアウターマッスル(表層筋)が過剰に働きます。また、身長+20cm程度の長さがあるものを選ぶことで、手足を大きく伸ばす動作でもマットからはみ出さず、集中力を維持できます。

2-2 ミニボール(ピラティスボール):不安定を「コントロール」に変える

直径20cm〜26cmのミニボールは、宅トレにおいて最も汎用性が高く、かつ効果が分かりやすい道具です。

  • アンチバースト仕様の必須性: 体重を預ける場面が多いため、万が一穴が開いても一気に破裂しない「アンチバースト」タイプを選んでください。これは安全面だけでなく、ボールの「たわみ方」にも影響し、より深層部への刺激をマイルドに伝えます。

  • 空気圧によるカスタマイズ: パンパンに膨らませるのではなく、少し空気を抜いて「8割程度」の弾力に調整するのがプロのテクニックです。これにより、身体のラインにボールがフィットし、骨盤周りの微細な動き(ペルビックティルト等)を正確にサポートできます。

POINT
piqueが推奨する「触感」へのこだわり

piqueでは、道具選びにおいて肌に触れた時の「触感」と「反発の質」を極めて重視します。例えばミニボール一つとっても、安価なビニール製で肌に張り付くようなものは、不快感が脳へのノイズとなり、身体のコントロールを妨げます。シルキーな手触りで、かつ適度な粘り気のある素材を選ぶことで、脳はリラックスした状態を保ち、深層部のインナーユニットをより正確に起動させることが可能になります。

2-3 ピラティスリング(マジックサークル):正中線への強固なガイド

ジョセフ・ピラティス氏が樽の金具から着想を得たと言われるこの道具は、体幹の「芯」を作るために不可欠です。

  • グラスファイバー製の推奨: 安価なプラスチック製は、数回の使用で歪んだり、反発が弱まったりします。プロ仕様の多くに採用されているグラスファイバー製は、弾力性が均一で、長期間使用しても形が崩れません。

  • パッドの形状と滑りにくさ: 両手だけでなく、太ももや足首で挟むことも多いため、内側と外側の両方に滑り止めのパッドがついているものを選びましょう。人間工学に基づいたカーブがついているパッドは、関節への負担を軽減します。

2-4 セラバンド(エクササイズバンド):筋肉を「長く使う」ための魔法

ゴムの抵抗を利用するバンドは、筋力に自信がない方や、身体が硬い方の可動域を劇的に広げます。

  • 長さの確保(1.5m〜2m): 短すぎるバンドは動作を制限します。足に引っ掛けて両手で持つ動作をスムーズに行うためには、2m程度の長さがあるものが理想的です。

  • 強度の色分けと選び方: 一般的に「ミディアム(標準)」が最も推奨されます。ピラティスは「重いものを持ち上げる」のが目的ではないため、バンドの抵抗が強すぎると、関節を固めてしまい、しなやかな動きが失われます。

2-5 フォームローラー:脊柱のアライメントを再構築する

ピラティスにおけるローラーは、単なるマッサージ道具ではなく「動く支持面」です。

  • ロングタイプ(90cm〜100cm)一択: ピラティスの基本である「ローラー上での仰向け」を行うためには、頭から仙骨(お尻の骨)までを完全にサポートできる長さが必要です。短いローラーでは背骨のアライメントを整えることができません。

  • 硬さの選択(EVA素材推奨): 硬すぎるローラーは交感神経を刺激し、身体を強張らせます。適度な弾力があるEVA素材は、筋肉の緊張を解き、背骨1本1本の可動性を引き出すのに適しています。

第3章 【目的別】あなたの悩みを解決する道具活用術

ピラティスの道具は、自分の身体の課題(姿勢、筋力、柔軟性)に合わせて正しく選択したとき、パーソナルトレーニングを受けているかのような劇的な変化をもたらします。ここでは、現代人が抱える代表的な3つの悩みに対し、piqueが推奨する最適な道具とその解剖学的アプローチを深掘りします。

3-1 姿勢改善:猫背・巻き肩・ストレートネックの解消

現代人の多くが抱える「前方への崩れ」は、胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)の短縮と、背中(胸椎)の可動域制限が主な原因です。

  • フォームローラーによる「胸椎の伸展」と「重力のリセット」: ロングローラーの上に背骨を沿わせて仰向けに寝るワークは、重力を利用して胸を開く最も効果的な方法です。自重だけで行うストレッチと違い、ローラーの高さ(約15cm)があることで、肩甲骨が自然に下方回旋・内転の方向へ導かれ、巻き肩の原因となる小胸筋が物理的に伸展されます。これにより、呼吸を司る横隔膜のスペースが広がり、一回換気量が増大することで自律神経の安定にも寄与します。

  • ミニボールによる「頸椎・胸椎の自己認識」: 後頭部や肩甲骨の間にミニボールを置くことで、頭の位置(ヘッドフォワード)を物理的にフィードバックします。ボールの柔らかい反発を感じながら顎を引く動作は、首のインナーマッスル(頸長筋など)を活性化させ、ストレートネックの根本原因である「頭の重さを支える深層筋の弱さ」を改善します。

3-2 体幹強化・ぽっこりお腹解消:下腹部を薄くする「引き込み」の確立

腹筋運動をしてもお腹が凹まないのは、アウターマッスルである腹直筋ばかりが働き、深層の「腹横筋」が眠っているからです。

  • ピラティスリングによる「インナーユニットの連動」: リングを両脚で挟む、あるいは両手で押す動作は、内転筋群や大胸筋といった「正中線(センターライン)」に近い筋肉を活性化させます。解剖学において、これらの筋肉は筋膜の繋がり(ディープ・フロント・ライン)を通じて、腹横筋や骨盤底筋群と直結しています。リングを「30%の力でじわじわと押しつぶす」刺激は、脳に対して「今、身体の芯を安定させろ」という強力な指令を送り、結果として下腹部が内側から薄く引き込まれる感覚を強制的に作り出します。

  • ミニボールによる「不安定性の克服」: 骨盤の下(仙骨付近)にミニボールを置いて脚を動かすワークは、体幹の安定性を試す究極のテストです。ボールの不安定な揺らぎを抑えようとするとき、脊柱を支える多裂筋などの微細な筋肉が反射的に収縮します。この「揺れをコントロールするプロセス」こそが、どんな状況でも崩れない真に強い体幹を作り上げます。

3-3 柔軟性向上・下半身のむくみ解消:しなやかな筋膜と血流の改善

身体が硬い人が無理にストレッチをすると、防御反応として逆に筋肉が硬直します。道具は、この「防御反応」を解くための鍵となります。

  • セラバンドによる「エキセントリック(伸張性)コントロール」: 足裏にバンドを掛け、ゆっくりと脚を下ろしていく動作では、バンドの抵抗が筋肉を「伸ばされながら耐える」状態へと導きます。これをエキセントリック収縮と呼び、単なるストレッチよりも筋線維を効率的に整え、しなやかな柔軟性を獲得させます。また、バンドのサポートにより股関節の余計な力みが取れるため、鼠径部のリンパの流れが促進され、下半身のむくみ解消に直結します。

  • フォームローラーによる「筋膜(ファシア)リリース」: 太ももの外側(腸脛靭帯)や前側(大腿四頭筋)をローラーでローリングすることは、癒着した筋膜を物理的に解きほぐします。筋肉を包む膜が滑らかに動くようになることで、ピラティスの各動作の可動域が広がり、エネルギー消費効率も高まります。

POINT
piqueメソッド「道具との対話」

piqueでは、道具を「使う」のではなく、道具と「対話」する意識を大切にしています。セラバンドやリングの抵抗を感じる際、それは単なる負荷ではなく、道具からあなたへの「今のフォームは正しいか?」「力みすぎていないか?」というリアルタイムのフィードバックです。力でねじ伏せるのではなく、道具の反発を丁寧に受け入れ、呼応するように動くことで、身体の深層部にあるインナーユニットが自然と目覚めていきます。この道具との「共鳴」が、最短で身体を書き換えるコツです。

第4章 自宅ピラティス環境の完全構築ガイド

「道具を買ったけれど、結局クローゼットに眠っている」。そんな事態を防ぎ、自宅を真の「心身の調律の場」に変えるためには、環境構築という戦略が必要です。ピラティスは脳と身体の緻密な対話であるため、視覚的・空間的なノイズを排除し、集中力を高めるための設計が効果を大きく左右します。

4-1 スペース設計:マット1枚から広がる「自分だけの聖域」

まず確保すべきは、物理的な広さだけではなく「心理的な安心感」が得られるスペースです。

  • 「2.5m × 1.5m」の法則: ピラティスのマットサイズ(約1.8m)に加え、前後左右に腕や脚を大きく広げるスペースが必要です。特にセラバンドやリングを使って脚を横に広げる(サイド・レッグ・シリーズなど)際、壁や家具に当たる不安があると、脳は無意識に防御反応を示し、筋肉を硬直させてしまいます。最低でも縦2.5m、横1.5mの「何にもぶつからないクリアランス」を確保してください。

  • 「視覚的ノイズ」の徹底排除: 人間の脳は、視界に入る情報にリソースを割かれます。洗濯物や書類、散らかった小物が目に入ると、インナーマッスルへの集中が削がれます。理想は、マットの正面には何も置かないこと。壁一面をシンプルに保つか、観葉植物を1つ置くだけに留めることで、意識を内面へ向けやすくなります。

4-2 床環境の最適化:滑り止めと防音の科学

フローリングの床に直接マットを敷くだけでは、ピラティスの激しいコントロールに耐えられない場合があります。

  • ダブルマット・システムの推奨: フローリングが滑りやすい場合、マット自体が動いてしまい、体幹を安定させるための力が逃げてしまいます。この場合、ヨガ用の薄いグリップマットを下敷きにし、その上に12mm以上のピラティスマットを重ねる「ダブルマット」が非常に有効です。これにより、強力なグリップと背骨へのクッション性を両立できます。

  • 階下への配慮(防音と振動): ピラティスはジャンプをしませんが、フォームローラーを転がす音や、リングを床に置く際の振動は階下に響きやすいものです。厚手のジョイントマットをベースに敷き詰めることで、防音だけでなく、冬場の床からの冷気を遮断し、筋肉が冷えて固まるのを防ぐ効果もあります。

4-3 継続率を劇的に上げる「スマート収納術」

「準備が面倒」という心理的障壁は、習慣化の最大の敵です。道具を出しっぱなしにせず、かつ「0秒」で始められる工夫が必要です。

  • 「見せる収納」による行動トリガー: 道具をクローゼットの奥にしまい込んでしまうと、存在自体を忘れます。お洒落なラタンバスケットや、壁掛けのラックにミニボールやリングをまとめて収納し、部屋の隅に配置しましょう。それが視界に入るたびに、脳内では「ピラティスのスイッチ」が入り、トレーニングを開始するまでのハードルが劇的に下がります。

  • 「セット化」による時短術: マットを丸める際に、中にセラバンドとミニボールを一緒に巻き込んでおく「ロールアップ収納」もおすすめです。マットを広げた瞬間に、その日のフルセットが揃う状態を作ることで、忙しい日常の中でも「15分だけやろう」という気持ちを喚起します。

4-4 照明とミラーリング:フィードバックの質を高める

  • 全身鏡の戦略的配置: ピラティスは「自分のアライメント(骨配列)」を客観視するスポーツです。マットの真横に全身鏡を置くことで、骨盤の傾きや肩の上がりをリアルタイムで修正できます。鏡は単なる確認用ではなく、脳内のイメージと実際の動きの「ズレ」を埋めるための教育ツールです。

  • 副交感神経を優位にするライティング: 夜のトレーニングであれば、天井の強いシーリングライトではなく、足元を照らす間接照明を活用してください。視線を上に向ける動作(チェストリフト等)で眩しさを感じると、身体は緊張し、アウターマッスルが優位になります。暗めの暖色系照明に整えることで、インナーマッスルが働きやすい「リラックスした集中状態(フロー状態)」へと導きます。

承知いたしました。【第5章:効果を最大化する実践テクニックと安全管理】を執筆します。

道具を手に入れた後、それを「単なる重り」にしてしまうか「魔法の杖」に変えられるかは、この章で述べる技術的な意識の差にかかっています。

第5章 効果を最大化する実践テクニックと安全管理

道具は、正しく使えば身体のポテンシャルを数倍に引き出しますが、一歩間違えると特定の関節を痛めたり、筋肉を太く固めてしまったりするリスクがあります。ここでは、道具の恩恵を120%享受しつつ、安全にトレーニングを進めるための「pique流・3つの鉄則」を解説します。

5-1 「8割の力」の原則:アウターマッスルを黙らせる

ピラティスの道具、特にリングやボールを扱う際、最も多い失敗は「全力で押しつぶす」ことです。

  • 「戦い」ではなく「呼応」: 強い力をかけると、脳は「緊急事態」と判断し、瞬発力に優れた大きな筋肉(アウターマッスル)を優先的に使います。これでは、本来鍛えたい深層部(インナーマッスル)が活動を停止してしまいます。

  • 20%〜30%の微細な圧力: リングを挟む際、あるいはバンドを引く際、常に「自分の最大筋力の2割程度」の軽い圧を意識し続けてください。この「かすかな、けれど継続的な刺激」こそが、脳に対してインナーユニット(腹横筋や多裂筋)の起動を促す最も効率的な信号となります。道具の反発を「敵」としてねじ伏せるのではなく、道具からの反発を「波」のように受け入れ、共鳴させる意識を持ってください。

5-2 呼吸と「エロンゲーション(軸の伸展)」の同期

道具の抵抗がかかると、初心者は無意識に息を止め、首や肩をガチガチに固めてしまいます。これを「怒責(どせき)」と呼び、体内の圧力を不自然に高めてしまう危険な状態です。

  • 「吐く息」で道具を動かす: ピラティスの基本は、息を吐く時に体幹を安定させることです。リングを押し込む、あるいはバンドを引くという「最も負荷がかかる瞬間」に、鼻から長く細く息を吐き出してください。

  • 背骨のスペースを潰さない: 例えば、ミニボールの上で背中を反らせる(伸展)際、単にボールに寄りかかるのではなく、頭の先とお尻の先が引っ張り合う「エロンゲーション(軸の伸展)」を同時に行います。道具を支点にして背骨に「スペースを作る」イメージを持つことで、椎間板への圧迫を防ぎつつ、柔軟性を安全に高めることができます。

5-3 代償動作を検知する「セルフモニタリング」術

道具を使っている最中、身体の他の部位が「サボったり、力んだり」していないかを確認するポイントを伝授します。

  • 顎の浮きと肩の上がり: 腕でリングやバンドを操作している時、顎が上がって首の後ろが詰まっていませんか? これは、腕の動きを首の筋肉で補おうとしている代償動作です。常に「耳と肩の距離を遠ざける」感覚を保ってください。

  • 骨盤の「転がり」: 脚で道具を扱っている際、骨盤が左右に揺れたり、腰が反ったりしていませんか? 道具の抵抗に負けて骨盤の安定が失われると、腰痛の原因になります。「腰の裏の隙間を一定に保つ」あるいは「坐骨を均等にマットに突き刺す」感覚が、道具の負荷よりも優先されるべき絶対条件です。

5-4 道具のメンテナンスと安全管理(禁忌事項)

道具を愛着を持って長く、そして安全に使い続けるためのルールです。

  • セラバンドの亀裂チェック: バンドは消耗品です。小さな切り傷や劣化による「白み」が見られたら、迷わず交換してください。動作中に断裂すると、顔や目への大怪我に繋がります。また、使用後は汗を拭き取り、ベビーパウダーを軽く振っておくと、ゴム同士の張り付きを防げます。

  • 「痛み」は脳からの停止信号: 「痛みを我慢してこそ効果が出る」というのは大きな誤解です。特に関節(膝、腰、首)に鋭い痛みを感じた場合、それは道具の負荷が今のあなたの筋力や可動域を超えている証拠です。即座に動作を中断し、負荷を下げる(または道具を外す)勇気を持ってください。

POINT
piqueが提唱する「道具との一体化」

piqueでは、最終的に道具を「持っている」という感覚が消え、道具が自分の身体の一部(延長線)のように感じられる状態を目指します。セラバンドが指先の延長に、リングが骨盤の輪の一部に感じられるようになった時、あなたの身体認識はプロレベルに達しています。その時、道具はもはや負荷ではなく、あなたの自由な動きを可能にする「翼」へと変化します。

第6章 宅トレの不安を解消する実践Q&Aと、継続のためのロードマップ

道具を揃え、知識を身につけた後に直面する「日常の些細な疑問」を解決します。ここを読み込むことで、迷いなくトレーニングを習慣化できるようになります。

6-1 読者の切実な悩みに答える実践Q&A

  • Q:マンションの騒音が心配です。ローラーの音やリングの振動は響きませんか?

  • A: ピラティスは衝撃を伴う動きが少ないため、基本的には静かです。しかし、フォームローラーを転がす際の低音や、リングを床に置く音は意外と響きます。第4章で触れた「ダブルマット(ジョイントマット+厚手マット)」を徹底してください。また、夜間はローラーでのローリング(転がし)を控え、静止した状態でのストレッチに切り替えるのがスマートな宅トレ術です。

  • Q:生理中に道具を使ったトレーニングを行っても大丈夫ですか?

  • A: 結論から言えば、体調が許す範囲なら「イエス」です。セラバンドを使った脚のストレッチや、ミニボールを腰の下に置いたリラックスポーズは、骨盤周りの血流を促し、重だるさを緩和します。ただし、腹圧を強くかけるリングの操作や、逆転(お尻を高く上げる)のポーズは避けてください。

  • Q:体が硬すぎて、セラバンドを使ってもポーズが取れません。

  • A: その場合は、バンドの強度を最も低いものに変えるか、膝を曲げた状態でサポートとして使ってください。道具は「完璧な形」を作るためのものではなく、あなたの「今の可動域」を安全に広げるためのものです。1cmでも「心地よい伸び」を感じられれば、それは正解です。

  • Q:安価な中国製と専門メーカー品、実際は何が違うのですか?

  • A: 最大の違いは「反発力の均一性」と「耐久性」です。安価なリングは押し込んだ時に左右で抵抗が違ったり、バンドは数ヶ月で弾力を失ったりします。一方、専門メーカー品は数万回の使用に耐える設計がなされており、脳に送るフィードバックが常に一定です。本気で体を変えたいなら、初期投資を惜しまないのが近道です。

6-2 道具のメンテナンスと買い替えサイン

道具を安全に使い続けるために、以下のセルフチェックを月に一度は行ってください。

  1. セラバンドの亀裂: 表面が白っぽく粉を吹いてきたり、端に1mmでも小さな傷があれば即交換です。使用中に切れると非常に危険です。

  2. ミニボールの粘つき: 表面がベタついてきたら素材の劣化です。服や床を汚すだけでなく、グリップ力が変わってしまうため買い替え時です。

  3. マットのヘタリ: 膝を突いた時に床の硬さを感じるようになったら、クッションが寿命です。

6-3 習慣化へのロードマップ:道具を「出しっぱなし」にする勇気

ピラティスを挫折しない最大のコツは、準備のハードルを下げることです。

  • ステップ1: お気に入りの色のミニボールやリングを選び、あえて「見せる収納」として部屋に置く。

  • ステップ2: 「今日はマットを広げるだけ」と決めて、まずは5分だけ道具に触れる。

  • ステップ3: 道具の感触が体に馴染んできたら、週3回、特定の部位(今日はお腹、明日は背中)に絞って集中する。

まとめ:道具は「自分を知る」ための地図

このガイドを読み終えたあなたは、すでに道具を使いこなすための全ての知識を手にしています。 ピラティスの道具は、単なるトレーニング用品ではなく、あなたの身体の「今」の状態を教えてくれる精密なセンサーです。道具からの抵抗を楽しみ、自分の内側と対話を続けてください。その積み重ねが、数ヶ月後の「見違えるほどしなやかな自分」を作ります。

さあ、今日からその道具と共に、新しい身体の旅を始めましょう。

この記事の監修者

監修者 韓梨瑛の写真

川上莉奈

piqué pilatesインストラクター

【保有資格】
・PHI Pilates Instructor 取得

【プロフィール/経歴】
piqué pilatesの在籍インストラクター。
幼少期からクラシックバレエを習い、大学を卒業後はヨガ・ピラティスのインストラクターとしてレッスン指導をメインに、店舗運営に携わる。
その後、人材業界にて企業の求人出稿や母集団形成をメインに、幅広い業種・職種の採用支援を経験。
現在はpiqué pilatesにて採用・研修マネージャーとして、社内研修の企画・実施および採用面接を担当している。

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