ピラティスのレッスンで
と言われたものの、
と感じたことはありませんか?
ニュートラルポジションは、ピラティスのさまざまなエクササイズを行ううえで基本となる身体の位置です。特に骨盤と背骨の位置を整えることで、身体を安定させながら動くための土台をつくります。骨盤のニュートラルでは、骨盤を前にも後ろにも傾けすぎず、背骨が本来持つ自然なカーブを保つことがポイントです。
この記事では、ピラティスにおけるニュートラルポジションの意味や基本的な姿勢、期待できるメリットについて詳しく解説します。ニュートラルポジションがうまくできないときに確認したいポイントや、初心者でも感覚をつかみやすい練習方法も紹介するので、ぜひ日々のピラティスに役立ててください。

第1章|ピラティスのニュートラルポジションとは?
1-1 ニュートラルポジションの意味
ピラティスにおけるニュートラルポジションは、身体をまっすぐに固めることではありません。骨盤や背骨を必要以上に傾けたり、力で引っ張ったりせず、それぞれが本来持っている自然な位置関係を保った状態です。
特にピラティスでは、骨盤の位置が重要になります。骨盤が前に傾きすぎたり、反対に後ろへ倒れすぎたりすると、その影響は背骨にも伝わります。そのため、エクササイズを始める前に骨盤の位置を整え、自分にとって無理のない姿勢をつくることが基本となります。
ニュートラルは「これが唯一の正解」という固定された形ではありません。身体をスムーズに動かすためのスタート地点と考えると分かりやすいでしょう。
1-2 骨盤は「前にも後ろにも傾きすぎない」が目安
ニュートラルポジションを理解するとき、まず確認したいのが骨盤です。
骨盤は前後に動かすことができます。それぞれの位置によって、腰や背中の状態も変化します。
大切なのは、前傾・後傾のどちらかを「正しい位置」として覚えることではありません。その間にある、身体が自然に安定する位置を探すことがポイントです。
ただし、身体のつくりや柔軟性、普段の姿勢には個人差があります。「腰の隙間は必ずこのくらい」と数字だけで決める必要はありません。
ニュートラルを確認するときは、次のような感覚にも目を向けてみましょう。
形だけで判断するのではなく、身体全体が無理なく安定しているかを確認することが大切です。
1-3 背骨は「まっすぐ」にする必要がない
ニュートラルポジションという言葉から、「背筋を伸ばして一直線にする姿勢」をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、背骨はもともと横から見ると緩やかなカーブを持っています。そのため、ピラティスで目指すニュートラルも、背骨を無理に平らにしたり、胸を張って一直線にしたりすることではありません。
意識したいのは、骨盤から背骨、頭までのつながりです。
身体の位置を確認するときは、次の3つを意識してみましょう。
「姿勢を良くしよう」と力を入れすぎると、肩が上がったり、胸を突き出したりすることがあります。
ニュートラルでは、見た目を整えることだけを目的にするのではなく、余計な緊張を減らして自然に動ける状態を目指します。
1-4 ニュートラルポジションはエクササイズの土台
ピラティスでは、同じ動きをしていても身体のスタート位置によって、動き方や身体の使い方が変わります。
たとえば、骨盤が大きく傾いた状態で脚を動かすと、脚だけでなく骨盤や腰まで一緒に動いてしまうことがあります。
そこで、まず骨盤を安定させ、そのうえで手足を動かすという順番を意識します。
ニュートラルポジションは、動きを小さくするための姿勢ではありません。
むしろ、身体の中心を安定させたうえで、腕や脚などをより自由に動かすための準備として考えることができます。
つまり、ニュートラルポジションには、
といった役割があります。
1-5 「正しい形」より身体の感覚を確認する
ニュートラルポジションを覚えるときに注意したいのが、形だけを追いかけないことです。
鏡を見て「背中がまっすぐだからOK」「腰が床についていないから間違い」と判断するだけでは、自分の身体に合った位置を見つけにくい場合があります。
身体の位置を確認するときは、見た目だけでなく、次のような感覚にも注目してみましょう。
ニュートラルを確認するときのチェックポイント
特に大切なのは、「正しい形を作れているか」だけで判断しないことです。
最初から完璧なニュートラルを作る必要はありません。骨盤を前傾・後傾させる動きを実際に行い、それぞれの違いを感じてみましょう。
そこから前後どちらにも傾きすぎていない位置へ戻ることで、自分にとってのニュートラルを少しずつ理解しやすくなります。
ニュートラルポジションは、頭で覚えるだけでなく、実際に身体を動かしながら感覚を身につけていくことが大切です。
第2章|ニュートラルポジションが大切な理由

ニュートラルポジションは、単に「正しい姿勢を作るため」のものではありません。ピラティスの動きをスムーズに行ったり、自分の身体の使い方を理解したりするための基準として役立ちます。
ここでは、ニュートラルポジションを意識することで得られる主なメリットを見ていきましょう。
2-1 ピラティスの動きを始める土台になる
ピラティスでは、いきなり大きく身体を動かすのではなく、まず姿勢を整えてからエクササイズに入ることがあります。そのときの基準となるのがニュートラルポジションです。
身体の中心が安定していれば、そこから腕や脚を動かしたときに、「どこを動かしているのか」を意識しやすくなります。
反対に、最初から骨盤が大きく傾いていたり、身体に余計な力が入っていたりすると、手足を動かすたびに姿勢まで崩れやすくなります。
ニュートラルポジションを意識することで、エクササイズを始める前に、
を確認できます。
つまりニュートラルは、特別なエクササイズというよりも、さまざまな動作を行うための「準備の姿勢」と考えると分かりやすいでしょう。
2-2 体幹を意識しながら身体を動かしやすい
ニュートラルポジションを意識すると、骨盤や背骨を安定させながら、手足を動かす感覚を身につけやすくなります。
たとえば、仰向けで片脚を動かす場合を考えてみましょう。
脚だけを動かしたつもりでも、骨盤まで一緒に揺れてしまうことがあります。このとき、骨盤の位置を確認しながら脚を動かすことで、「脚は動いているけれど、身体の中心は安定している」という感覚をつかみやすくなります。
ここで注意したいのは、体幹を意識することと、お腹を強く固めることは同じではないという点です。
ピラティスでは、
というように、安定と動きを両立させることが大切です。
2-3 骨盤と背骨のつながりを理解しやすくなる
骨盤と背骨は別々に動いているように見えますが、実際にはつながっているため、骨盤の位置は背骨の状態にも影響します。
たとえば骨盤が前へ大きく傾けば腰のカーブが強くなりやすく、反対に後ろへ倒れれば背中が丸まりやすくなります。
そのため、姿勢を見直すときには「背中を伸ばす」だけではなく、「骨盤はどこを向いているか」という視点を持つことが大切です。
ニュートラルポジションの練習では、まず骨盤を前後に動かしてみましょう。
この違いを実際に体験すると、普段は意識していなかった骨盤の動きにも気づきやすくなります。
「正しい姿勢を覚える」だけでなく、自分の身体がどのように動くのかを知ることも、ニュートラルポジションを学ぶ大切な目的です。
2-4 力を入れすぎない姿勢を覚えやすい
「正しい姿勢にしよう」と考えるほど、身体を固めてしまう方もいます。
たとえば、
といった動作を一度に行うと、肩や首、腰などに余計な力が入り、かえって動きにくくなることがあります。
ニュートラルポジションでは、身体を無理に固定するのではなく、必要な安定性を保ちながら自然に呼吸できる状態を目指します。
「姿勢を整える」と「身体を固める」は同じではありません。
姿勢を確認したときは、次の3つをチェックしてみましょう。
この感覚を知っておくと、「頑張って姿勢を作る」のではなく、身体を必要以上に緊張させずに安定させることを意識しやすくなります。
2-5 日常の姿勢を見直すきっかけにもなる
ニュートラルポジションを練習していると、エクササイズ中だけでなく、普段の身体の使い方にも目が向くようになります。
たとえば、次のような場面で自分の姿勢を確認してみましょう。
もちろん、日常生活で常にニュートラルを維持し続ける必要はありません。
身体は本来、さまざまな方向へ動くものです。大切なのは、「ずっと同じ姿勢を保つこと」ではなく、自分が今どのような姿勢を取っているのかに気づくことです。
姿勢の癖に気づいたら、一度立ち上がったり、身体を伸ばしたり、座り直したりしてみましょう。
ニュートラルポジションを知ることは、ピラティスの時間だけでなく、普段の身体の使い方を見直すきっかけにもなります。
第3章|ニュートラルポジションを確認する方法
ニュートラルポジションは、頭の中で形を覚えるだけではなかなか身につきません。実際に身体を動かしながら、骨盤や背骨がどのように変化するのかを感じてみることが大切です。
ここでは、仰向け・座位・立位それぞれで確認する方法を紹介します。
3-1 仰向けで骨盤の位置を確認する
ニュートラルポジションを練習するときは、まず仰向けから始めると身体の位置を確認しやすくなります。
床やマットの上で仰向けになり、両膝を立てます。足は腰幅程度に開き、肩や首の力を抜きましょう。
まずは、次の手順で骨盤を動かしてみます。
このとき、腰を無理に床へ押しつける必要はありません。
大切なのは、骨盤を前後へ動かしたときの違いを感じ、「自分の身体が自然に安定する位置はどこか」を探すことです。
3-2 骨盤を前傾・後傾させて「中間」を探す
ニュートラルが分かりにくい場合は、最初から正解の位置を探そうとしないこともポイントです。
まずは骨盤を前後へ動かして、それぞれの位置を体験してみましょう。
大きな動きをする必要はありません。腰や骨盤の変化を感じられる程度の小さな動きで十分です。
何度か繰り返したら、前傾と後傾の間にある位置へ戻してみましょう。
この方法なら、「ニュートラルにしてください」と言われても位置が分からない方でも、自分の身体の動きを基準にしてニュートラルを探すことができます。
ニュートラルは、頭で覚えるだけではなく、身体を動かしながら少しずつ感覚を身につけていきましょう。
3-3 呼吸が自然にできるかを確認する
骨盤の位置を確認するときは、姿勢だけでなく呼吸の状態にも意識を向けてみましょう。
姿勢を整えようとしてお腹を強く固めると、息が浅くなったり、肩や首に力が入ったりすることがあります。
ニュートラルを意識した状態で、ゆっくり息を吸って吐いてみましょう。
次の項目をチェックすると、自分が身体を固めすぎていないか確認しやすくなります。
もちろん、呼吸がしやすいことだけでニュートラルを判断できるわけではありません。
ただし、姿勢を作ることに集中しすぎて身体を固めていないかを確認する目安として、呼吸に意識を向けることは役立ちます。
3-4 座った状態では「坐骨」を意識する
ニュートラルポジションは、仰向けだけでなく座った状態でも確認できます。
椅子や床に座ったら、お尻の下にある左右の坐骨を意識してみましょう。
骨盤を後ろへ倒すと背中が丸まりやすく、反対に前へ傾けすぎると腰を反りやすくなります。
その間で、坐骨が身体を支え、背骨が自然に上へ伸びていくような位置を探します。
座位では、次のようなポイントを意識すると分かりやすくなります。
ここでも「胸を張る」ことを優先する必要はありません。
頭を上から引っ張られているように背筋を伸ばすのではなく、骨盤の上に背骨が自然につながっている感覚を意識してみましょう。
3-5 立った状態では全身のつながりを見る
立位でニュートラルを確認するときは、骨盤だけを見るのではなく、足元から頭まで全身のつながりを意識します。
まず両足で均等に床を踏み、膝を必要以上に伸ばし切らないようにします。その上に骨盤が乗り、背骨が自然なカーブを保ち、頭が身体の中心から大きく前後へ外れていない状態を目指します。
立った状態では、次のような順番で確認すると分かりやすいでしょう。
鏡を使う場合も、「完璧な一直線になっているか」だけを見る必要はありません。
骨格や柔軟性には個人差があるため、立ち姿の形にも違いがあります。見た目だけで身体の状態を決めつけず、力みや呼吸、動きやすさも合わせて確認することが大切です。
3-6 ニュートラルは姿勢によって変わる
ピラティスでは、仰向け・座位・立位など、さまざまな姿勢でエクササイズを行います。
そのため、「ニュートラル=いつも同じ形」と覚えると、かえって混乱することがあります。
姿勢によって身体を支える場所が異なるため、確認するポイントも少しずつ変わります。
どの姿勢にも共通しているのは、骨盤と背骨の位置関係を意識しながら、無理な力を使わず身体を安定させることです。
この感覚を身につけることで、ニュートラルポジションを一つの姿勢だけに限定せず、さまざまなエクササイズや動きへ応用しやすくなります。
第4章|ニュートラルポジションで起こりやすい間違い
4-1 「腰を床につける=正しい」と考えてしまう
仰向けでニュートラルを練習するときに起こりやすいのが、腰を床へ強く押しつけてしまうことです。
腰と床の間に隙間があると、「ここをなくさなければ」と考えてしまうかもしれません。しかし、ニュートラルポジションでは、腰のカーブを完全になくすことが目的ではありません。
腰を床へ押しつけるために骨盤を後ろへ傾けると、本来のニュートラルから離れてしまう場合があります。
「腰を床につける」ことではなく、骨盤が前後どちらかへ大きく傾きすぎていないかを確認しましょう。
4-2 「姿勢を良くしよう」と胸を張りすぎる
姿勢を良くしようとすると、胸を大きく開いて背筋を伸ばしたくなることがあります。
しかし、胸を張ることに集中すると、肋骨が前へ突き出たり、腰を反らせたりすることがあります。見た目は背筋が伸びていても、身体の一部に力が偏っていれば、自然な姿勢とはいえません。
ニュートラルでは、胸だけを持ち上げるのではなく、骨盤から背骨までのつながりを意識します。
肩の力を抜き、呼吸を続けながら、身体全体が無理なく伸びている状態を探しましょう。

4-3 お腹を強くへこませすぎる
ピラティスでは体幹を意識するため、「お腹を引き締める」という表現を聞くことがあります。
ただし、これを「お腹をできるだけ強くへこませ続ける」と捉えると、呼吸まで浅くなってしまうことがあります。
体幹の安定は、腹部を固めて動かさないことだけを意味しません。呼吸を続けながら身体の中心を支え、必要な部分を動かせることが重要です。
ニュートラルを練習するときは、「どれだけ力を入れるか」よりも、必要以上に力が入っていないかを確認してみましょう。
4-4 骨盤の位置だけに集中する
ニュートラルポジションでは骨盤が重要ですが、骨盤だけを意識すればよいわけではありません。
骨盤の上には背骨があり、その上には頭があります。また、身体を支える足や脚も姿勢に関わっています。
骨盤を整えようとするあまり、肩をすくめたり、首を前へ出したりすれば、全身としてはバランスが変わってしまいます。
「骨盤を整える → 背骨の状態を見る → 呼吸を確認する」というように、一部分だけではなく全体を確認することがポイントです。
4-5 鏡の形だけで判断してしまう
鏡を使って姿勢を確認することは、自分の身体の位置を知るうえで役立ちます。
一方で、見た目だけを基準にすると、「この形にならなければニュートラルではない」と思い込んでしまうことがあります。
身体の骨格や関節の動きには個人差があるため、同じニュートラルを意識していても、見た目がまったく同じになるとは限りません。
鏡で確認するときは、形だけではなく、次のような感覚も合わせて確認しましょう。
4-6 「ずっとニュートラルでいる」と考えてしまう
ニュートラルポジションは大切ですが、日常生活のすべての動きをニュートラルで固定する必要はありません。
身体には、前へかがむ、反る、ひねる、横へ倒すなど、多くの動きがあります。ピラティスでも、ニュートラルを基準にしながら、そこからさまざまな方向へ身体を動かします。
そのため、ニュートラルは「動かないための姿勢」ではなく、動きをコントロールするための基準と考えることが大切です。
第5章|ニュートラルポジションを身につける練習方法
ニュートラルポジションは、頭で「この形が正解」と覚えるだけでは、なかなか身につきません。実際に身体を動かしながら、骨盤や背骨の位置、呼吸のしやすさなどを感じていくことが大切です。
ここでは、日常でも取り入れやすい練習方法を紹介します。
5-1 まずは骨盤を小さく動かしてみる
最初から静止した姿勢を完璧に作ろうとするより、骨盤を実際に動かしてみることから始めると、ニュートラルの位置が分かりやすくなります。
仰向けで膝を立て、骨盤をゆっくり前後へ傾けてみましょう。前へ傾けたときと後ろへ傾けたときで、腰や背中の感覚がどのように変わるのかを確認します。
何度か繰り返したら、前後どちらにも傾きすぎていない位置へ戻します。
この流れを繰り返すことで、ニュートラルを目で見るだけではなく、身体の感覚として捉えやすくなります。
5-2 鏡や手を使って位置を確認する
自分の感覚だけでは分かりにくい場合は、視覚や触覚を使って確認するのも方法の一つです。
仰向けでは、骨盤の左右にある出っ張った部分に軽く手を添え、左右の高さや位置を確認してみましょう。骨盤を前後へ動かしたときに、手に伝わる変化を感じることもできます。
立った状態なら、横から鏡を見ることで、骨盤が大きく前後へ傾いていないかを確認できます。
ただし、鏡や手によるチェックはあくまで姿勢を知るための目安です。骨格には個人差があるため、「この形なら必ず正しい」と決めつけず、身体の感覚と合わせて確認しましょう。
5-3 呼吸を止めずに姿勢を保つ
ニュートラルを練習していると、「身体の中心を安定させよう」と意識するあまり、呼吸を止めたり、腹部に力を入れ続けたりすることがあります。
そこで、姿勢を整えたら、ゆっくり息を吸い、続けて息を吐いてみましょう。
呼吸を続けながら姿勢を保てるか確認すると、身体を必要以上に固めていないかを見直すきっかけになります。
5-4 日常の動作でも身体の位置を意識する
ニュートラルは、ピラティスをしている時間だけ意識すればよいものではありません。日常生活でも、ときどき自分の身体の位置に目を向けてみましょう。
ここで意識したいのは、「常にニュートラルでいなければならない」ということではありません。
自分の姿勢の癖に気づき、必要に応じて身体を動かしたり、姿勢をリセットしたりする習慣をつくることが目的です。
5-5 エクササイズ中にニュートラルへ戻る
ニュートラルは、最初の姿勢を作ったら終わりではありません。
ピラティスでは、脚を動かしたり、腕を上げたり、身体を曲げたり伸ばしたりすることで、スタート時から身体が動きます。その過程で、骨盤や背骨の位置が大きく変化していないかを確認することが重要です。
たとえば脚を上げたときに骨盤まで一緒に動いてしまう場合は、まず動かす範囲を小さくしてみましょう。
「大きく動くこと」よりも、身体の中心を意識しながらコントロールできることを優先すると、ニュートラルを実際のエクササイズへつなげやすくなります。
5-6 分からないときは専門家に確認する
ニュートラルポジションは、文章や動画だけで完全に理解するのが難しいこともあります。
自分ではまっすぐ整えているつもりでも、実際には骨盤を傾けすぎていたり、肩や腰に力が入っていたりする場合があります。
ピラティススタジオでは、インストラクターが身体の位置を確認しながら、骨盤の傾きや背骨の状態、呼吸などを一つずつ確認していきます。
特に、
という場合は、一度直接チェックしてもらうのもよいでしょう。
自分では気づきにくかった身体の使い方を知ることで、ニュートラルポジションへの理解が深まり、その後の練習にもつなげやすくなります。
第6章|ニュートラルポジションと呼吸・体幹の関係
6-1 ニュートラルでは呼吸も意識する
ピラティスでニュートラルポジションを意識するときは、姿勢だけでなく呼吸のしやすさにも注目してみましょう。
姿勢を安定させようとして身体を固めすぎると、呼吸が浅くなったり、肩や首に力が入ったりすることがあります。
反対に、呼吸を続けながら姿勢を保てると、必要以上に身体へ力を入れていないかを確認しやすくなります。
呼吸は、身体の状態を感じるための目安にもなります。肋骨や胸郭は呼吸に合わせて動くため、息を吸ったり吐いたりしながら、身体のどこに力が入っているのかを観察してみましょう。

6-2 体幹を「固める」ことと「安定させる」ことは違う
「体幹を使う」と聞くと、お腹を強くへこませたり、身体を動かさないように固めたりするイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし、ピラティスで意識したいのは、身体を完全に固定することではありません。
骨盤や背骨を安定させながら、必要な部分を動かせることが大切です。
たとえば脚を動かすエクササイズでは、脚は動いている一方で、骨盤が必要以上に揺れない状態を目指します。
このように考えると、体幹の役割は「動かないため」ではなく「動きを支えるため」にあると理解しやすくなります。
6-3 肋骨の位置にも目を向ける
ニュートラルを意識するときは、骨盤だけを整えて終わりにしないことも重要です。
骨盤の上には背骨があり、その周囲には肋骨があります。骨盤を自然な位置に置いたつもりでも、胸を大きく突き出したり、肋骨が前へ開きすぎたりすると、全身のバランスが変わることがあります。
そこで、骨盤を自然な位置に置いたら、次は肋骨や肩まわりにも意識を広げてみましょう。
呼吸をしながら、次のポイントを確認します。
骨盤だけ、胸だけというように一部分を見るのではなく、全身のつながりを感じながら確認することがポイントです。
6-4 手足を動かしても身体の中心を保つ
ニュートラルポジションの理解を深めるには、静止した状態だけでなく、そこから手足を動かしてみることも大切です。
たとえば仰向けで片脚を持ち上げるとき、脚を動かすことで骨盤が前後へ傾いていないか確認します。
もし骨盤まで動いてしまう場合は、まず脚を動かす範囲を小さくしてみましょう。動作を小さくすることで、身体の中心を意識しながら動く感覚をつかみやすくなります。
慣れてきたら、少しずつ動く範囲を広げていきます。
「大きく動けること」よりも「自分でコントロールできる範囲で動くこと」を優先することが大切です。
6-5 ニュートラルから動くことで姿勢への理解が深まる
ニュートラルポジションを学ぶ目的は、決まった姿勢を覚えることだけではありません。
骨盤を前後へ動かしたり、背骨を丸めたり伸ばしたり、腕や脚を動かしたりする中で、自分の身体がどのように動くのかを知ることにも意味があります。
ニュートラルを「動かない場所」として考えるのではなく、「身体の状態を確認する基準」として捉えてみましょう。
基準となる位置が分かれば、そこから身体を動かしたときにも、
といった変化に気づきやすくなります。
この感覚が身につくと、ピラティスのエクササイズをただ形だけ真似するのではなく、自分の身体を観察しながら動くことにつながります。
第7章|ニュートラルポジションを身につけるための考え方
7-1 最初から完璧な位置を目指さない
ニュートラルポジションを練習するとき、「正しい位置を一度で覚えなければ」と考える必要はありません。
身体にはそれぞれ姿勢の癖があり、普段あまり使っていない動きは感覚をつかみにくいことがあります。特に骨盤は、日常生活の中で細かく位置を意識する機会が少ないため、最初は前傾と後傾の違いさえ分かりにくい場合があります。
まずは骨盤を実際に動かしてみて、どの方向へ動かしやすいのか、どこで力が入りやすいのかを知ることから始めましょう。
「できているか」を急いで判断するよりも、自分の身体の変化に気づくことが上達への第一歩です。

7-2 身体の左右差にも目を向ける
ニュートラルポジションを意識していると、左右の身体の使い方が同じではないことにも気づく場合があります。
たとえば、次のような癖です。
ただし、左右差があるからといって、必ずしも自分で無理に修正する必要はありません。
まずは「自分にはこういう身体の使い方の癖がある」と知ることが大切です。そのうえで、ピラティスの動きの中で左右を意識して使い分けると、自分の身体をより細かく観察できるようになります。
7-3 エクササイズの難易度より身体のコントロールを優先する
ニュートラルを意識する段階では、難しいエクササイズを無理に選ぶ必要はありません。
脚を大きく動かしたり、複雑な動作を組み合わせたりすると、身体の中心を意識する余裕がなくなることがあります。
そのようなときは、
といった方法を試してみましょう。
たとえば脚を数センチ動かすだけでも、骨盤を安定させながら動けているかを確認できます。
この意識を持つことで、ニュートラルを保ちながら身体を動かす感覚を身につけやすくなります。
7-4 マシンピラティスでは姿勢を確認しながら動ける
マシンピラティスでは、リフォーマーなどの専用マシンを使い、スプリングの抵抗やサポートを利用しながら身体を動かします。
マット上だけでは感覚をつかみにくい動きでも、マシンによるサポートを利用することで、身体の位置や動きに意識を向けやすくなる場合があります。
また、パーソナルレッスンであれば、インストラクターから骨盤や背骨の位置についてその場で確認してもらえるため、自分では判断しにくい部分もチェックしやすくなります。
「何となく合っている気はするけれど、本当にこれでいいのか分からない」という場合には、専門家に動きを見てもらうのも一つの方法です。
7-5 ニュートラルを知ることは自分の身体を知ること
ニュートラルポジションは、ピラティスのエクササイズを正しく行うためだけに覚えるものではありません。
骨盤を前後に動かしたときの違い、背骨のカーブ、呼吸のしやすさ、左右の体重のかかり方などを意識することで、普段は気づかなかった身体の特徴を知るきっかけになります。
ピラティスでは、決められた形に身体を合わせるだけではなく、自分の身体を感じながら動きをコントロールしていくことが大切です。
ニュートラルポジションも、完璧な形を覚えることをゴールにするのではなく、身体が自然に安定する位置を知り、そこからさまざまな動きへつなげていくための基準として活用していきましょう。
まとめ|ニュートラルポジションを理解してピラティスを深めよう
ピラティスのニュートラルポジションは、骨盤や背骨を無理に固定する姿勢ではなく、身体が自然に安定し、そこからスムーズに動ける位置を知るための基準です。
特に意識したいのが骨盤の傾きです。前へ傾けすぎたり、後ろへ倒しすぎたりするのではなく、その中間にある自然な位置を探すことが大切です。仰向け・座位・立位では身体の支え方が変わるため、それぞれの姿勢で自分に合ったニュートラルを確認していきましょう。
また、ニュートラルを意識する際は、「腰を床につける」「胸を張る」「お腹を強くへこませる」といった一つの動作だけに頼らないこともポイントです。呼吸を続けられるか、肩や首に余計な力が入っていないか、身体の中心を安定させたまま手足を動かせるかなど、全身の感覚を確認してみてください。

最初から完璧な位置を見つける必要はありません。骨盤を前後へ動かして違いを感じたり、日常生活の中で自分の姿勢の癖に気づいたりすることから始められます。
ニュートラルポジションを「正しい姿勢の形」として覚えるのではなく、自分の身体を知り、より自由に動くための基準として捉えることが、ピラティスを深めるポイントです。
「ニュートラルがどうしても分からない」「自分の姿勢が合っているのか確認したい」という方は、インストラクターに実際の身体の位置を見てもらうのもよいでしょう。自分では気づきにくい身体の使い方を知ることで、普段のエクササイズにも新しい発見が生まれます。
この記事の監修者

川上莉奈
piqué pilatesインストラクター
【保有資格】
・PHI Pilates Instructor 取得
【プロフィール/経歴】
piqué pilatesの在籍インストラクター。
幼少期からクラシックバレエを習い、大学を卒業後はヨガ・ピラティスのインストラクターとしてレッスン指導をメインに、店舗運営に携わる。
その後、人材業界にて企業の求人出稿や母集団形成をメインに、幅広い業種・職種の採用支援を経験。
現在はpiqué pilatesにて採用・研修マネージャーとして、社内研修の企画・実施および採用面接を担当している。